Webサイトを作るために決めなくてはならない3つの事
こんにちは。
翔栄クリエイト・Web担のWebディレクター・篠崎です。
近頃は、Webサイト制作やWebマーケティングにも使いやすい補助金がいくつかあります。
弊社では補助金の申請サポートを行っているのですが、その際に、ご質問が多いのが、
Webサイトの準備として何が必要なのか?
です。
ターゲットやWebサイトを構築する目的を明確にして…といった、どのようなWebサイトを作るのか?ではなく、その前提として、そもそもWebサイトを制作する上で、どんなシステムやツールを準備する必要があるのか?という話です。
そこで、今回は、Web制作を行う上で、検討が必要になるシステムやツールとは何か?について、簡単に説明したいと思います。
Webサイトを作るために決めなくてはならない3つの事
1)Webサイトを作るために必要な準備とは?
いざ、Webサイト(ホームページ)制作をスタートしようとすると、制作会社から
・サーバーはどちらで用意しますか?
・ドメインどうしますか?
といった、謎の単語を連発されることがあります。
事前に言ってもられば、まだ良いのですが、そろそろ公開というタイミングで、いきなり、質問されて戸惑われた経験をお持ちの方も多いかもしれません。
しかも、Webサイトの制作費用とは別にコストがかかるという話になり、ちょっとしたトラブルになることもあります。
こうしたトラブルを避ける意味でも、Webサイトの内容云々を検討する前に、そもそもWebサイトを制作する上で、システム的に何が必要なのか?整理したいと思います。
ごく簡単にまとめると、Webサイトを制作する際には、
・Webサイト(ホームページ)を何で作るか?
・サーバーをどうするか?
・ドメインをどうするか?
の3つの要素を決める必要があります。
以下、この3つについて、簡単に解説したいと思います。
2)Webサイトを「何で」作るか?
ごくごく大雑把に言ってしまうと、
WebサイトはHTMLというプログラム言語で構築されています
HTMLは、そのままエイチティーエムエルと発音します。
例えば、以下の図は、有名なYahoo!のトップページのHTMLの一部です。
Webサイトは、実は、このようなアルファベットと数字、テキストの塊なのです。
このHTMLの塊を、インターネット閲覧ソフト(ブラウザと呼びます。GoogleのChromeやiPhoneのSafariなどが有名です)で見ると、普段、皆さんが見ているWebサイトになる訳です。
Webサイトを「何で」作るか?
というのは、このHTMLをどのような手法で構築するか?ということを意味します。
それには、大きく分けると「フルスクラッチ」と「CMS」という2の手法があります。
フルスクラッチ
「フルスクラッチ」とは、HTMLを、一から手作業で書いてWebサイトを構築する手法を言います。
腕の良いエンジニアがHTMLを書くと、たいていのデザインや表現、機能は実現可能で、ほぼ思い描いた通りのWebサイトができあがります。
また、腕の良いエンジニアであれば、HTMLを非常にシンプルに書くことができ、Webサイトの表示速度も速く、動作も機敏にできます。
一方、HTMLを理解していないと、手が出せないため、初期制作の段階はもちろん、公開後にちょっとした修正(例えば、後から発見した誤字や脱字とか、会社概要の数字が変わったとか…)を行うのも、専門のエンジニアによる作業が必要になります。
(※本当に初歩的な部分は覚えれば素人でもなんとかなりますが、ちょっとしたミスでWebサイトが大きく壊れるリスクがあります)
社内で、専門のエンジニアを雇うのではない限り、ちょっとした修正でも外部の業者に依頼する必要があり、コストと即時性の面では効率が悪くなるデメリットがあります。
CMS(シーエムエス)
CMSは、コンテンツ・マネジメント・システムの頭文字をとった略称です。
HTMLに詳しくない方でも、Webサイトを更新できるようにしたツールのことで、代表的なものにWordPress(ワードプレス)があります。
デザインや機能面をフォーマット化・テンプレート化することで単純化し、専門知識が無い方でも、簡単にWebサイトの構築が可能になります。
例えば、テキストの修正や画像の入れ替え、最新情報の追加といった簡単な作業であれば、WordやExcelなどのOfficeソフトを普段使っている方であれば、直ぐに操作方法を覚えられるでしょう。
Web制作コストも、フルスクラッチに大幅に抑えられることもメリットです。
ただし、フォーマット化・テンプレート化することで、デザインや機能、表現の幅が狭くなるため、フルスクラッチのように自由度が高いWebサイトの構築は難しくなります。
(※最近のCMSはかなり進化しており、フルスクラッチに負けない表現力を持つようになりましたが、フルスクラッチレベルのことを実現するには、やはり専門的なエンジニアの作業が必要です)
また、フォーマット化・テンプレート化するために、HTMLの構造がフルスクラッチに比べてどうしても複雑になります。
その結果、Webサイトの表示速度や、Webサイトの動作が、やや重くなる傾向があります。
もう1つ、CMSで注意するポイントとしては、セキュリティ面の不安があります。
例えば、代表的なCMSのWordPress(ワードプレス)は世界中のWebサイトの約4割が使用していると言われています。
攻撃プログラムを1つ作れば、数多くのWebサイトを攻撃できるため、愉快犯から犯罪者まで悪意あるハッカーが標的にしやすいのです。
CMSを選択した場合、セキュリティ対策をどうするか?も重要になります。(当然、フルスクラッチでも対策は必須ですが…)
Webサイトを制作する際は、Webサイトを構築する目的や実現したい機能、デザインの表現力、初期制作コストと運用コスト、社内体制など、総合的に見て、フルスクラッチとCMSのどちらで構築するのか?を決める必要があります。
Webサイトの運営に潤沢な予算があり高い表現力を求める場合や、社内にHTMLに精通した専門部署がある場合は、フルスクラッチの方が良いでしょう。
そうでない限りは、運用がしやすく、覚えれば自分たちでもある程度の操作が可能なCMSがお勧めです。
なお、Webサイトを構築する際に、いわゆる「ホームページ制作サービス」を利用するという方法もあります。
そのメリット・デメリットについては、5節で解説したいと思います。
3)サーバーをどうするか?
前節で、「WebサイトはHTMLで構成されている」と書きましたが、一言でいうと、そのHTMLデータを保存するための入れ物がサーバーです。
私たちが、インターネット閲覧ソフト(ブラウザ)でWebサイトを閲覧する場合、このサーバーに収納されたHTMLを読み込んでブラウザに表示します。
当然、HTMLのデータ量が大きければ、より大きなサイズのサーバーが必要になります。
また、Webサイトのデータをブラウザに読み込む速度は、読み込む側のパソコンやインターネット速度だけでなく。サーバーの性能にも左右されます。
サーバーの性能は、同時にアクセスできる人数の上限にも影響します。
サーバーの性能を超える人数が一度にWebサイトを閲覧しようとすると、処理能力を超えて、Webサイトが異常に重くなったり、場合によっては閲覧できなくなります。(いわゆる「落ちた」状態)
構築するWebサイトの目的や予想されるアクセス数、そしてコストなどを総合的に見て、どのようなスペックのサーバーを選ぶのか決める必要があります。
そして、必要なサーバーのスペックが決まれば、今度は、どうやってサーバーを構築するのか?を考える必要があります。
サーバーを構築する場合、大きく分けて、「自前」か「レンタル」かの2つの方法があります。
「自前」というのは、文字通り自前でサーバーを用意することで、社内にサーバーを構築することを意味します。
器材の購入から設定、管理・運用まで全て自前で行うため、当然、高度な専門知識が無いと対応できません。
よって、多くの会社では、この方法を選択することは現実的ではありません。
そこで、「レンタル」サーバーを利用することになります。
レンタルサーバーとは
レンタルサーバーとは、文字通り、「サーバー」を「レンタル」する(借りる)サービスのことです。
器材の準備や管理をサーバー会社が行うため、社内に高度な知識が無くても、サーバーを利用することができます。
サーバー会社や契約するサービス内容によって、サーバーのスペックや「できること/できないこと」、専門的なサポートの有無など、千差万別です。
もちろん、コストもピンキリですので、Webサイトの目的や規模、社内の知識レベル、Webサイトを「何で」構築するのか?といった要素を考えた上で、選ぶ必要があります。
また、レンタルサーバーには、大きく分けて4つの種類があります。
共用サーバー
1つのサーバーを複数のユーザーで共用するレンタルサーバーです。
1ユーザーあたりのデータ容量は少なくなりますが、サーバー費用を共有するユーザーで負担するため、コストがかなり安くなります。
ただし、複数ユーザーで使用するため、取り決めや制限(約束事)が多く、サーバーの設定も好き勝手にはできません。
また、同じサーバーを利用しているユーザーのWebサイトにアクセスが殺到した場合、自社のWebサイトも表示速度が重くなったり、場合によって閲覧できなることもあります。
同様に、同じサーバーを利用しているユーザーのWebサイトで悪質なハッキングなどが発生した場合、自社のWebサイトにも影響が出る場合があるなど、皆で1つのサーバーを利用しているデメリットもあります。
専用サーバー
1つのサーバーを自社専用のサーバーとしてレンタルするサービスです。
自社専用のサーバーですので、設定などは基本的に自由にできますし、共有サーバーで見られる、共有している他のユーザーが原因のデメリットを考える必要はありません。
当然、1社で1つのサーバーをレンタルしますので、コスト的には共有サーバーに比べると相当高額になります。
また、設定の自由度が高い分、共用サーバーよりも設定することが多く、専門的な知識が必要になることも多々あります。
VPS(仮想専用サーバー)
共用サーバーと専用サーバーの中間のようなサービスです。
複数のユーザーで1つのサーバー利用する点は共用サーバーと一緒ですが、内部の設定は、ある程度自由にできる点で専用サーバーに近いサーバーです。
共有サーバーよりも自由度が高い一方、専用サーバーよりもコストが安いというメリットがあります。
ただ、同じサーバーを共有するための弊害は共有サーバーと同じように発生しますし、設定の自由度が高いため、専用サーバー同様、専門知識が必要になります。
クラウドサーバー
厳密に言うとレンタルサーバーとは異なる新しいサーバーの利用形態です。
共有サーバーにしても、専用サーバーやVPS(仮想専用サーバー)にしても、外部の業者が準備した物理的なサーバーをレンタルするサービスです。
共有するか単独で使用するかの違いはありますが、基本的に、サーバー1台ごとに契約するイメージです。
クラウドサーバーも、結局は物理的なサーバーです。
1台1サーバーというのではなく、インターネットでつながった複数のサーバー群があり、その1区画を利用するサービスです。
レンタルサーバーの場合、容量やスペックは1台のサーバーによって決定されます。
対して、クラウドサーバーの場合、容量やスペックは自由自在に好きなように決められます。
また、急なアクセス増にも柔軟に対応でき、TV出演などアクセスが急増がすることが予想される場合、そのタイミングだけ事前に強化しておくといった運用もできます。
ただし、設定には専門的な知識が必要になりますし、月額費用がかなり高額です。
4種類のサーバーについて解説しましたが、改めてその違いを表にまとめてみました。
4つのタイプのレンタルサーバーを比較
これらの中から、制作するWebサイトの目的や実現したい機能、予想されるアクセス数、そして最も重要なコストなど、さまざまな観点から適切なサーバーを選ぶ必要があります。
実際には、Web制作会社から提案があると思いますので、そこで改めて検討される形が良いでしょう。
サーバーの契約と運用・保守を誰がするのか?
サーバーの種類を決めるのと同時に、サーバーに関してはもう1つ決めなければならないことがあります。
それは、サーバーの契約と運用・保守を誰が行うのか?ということです。
これにはWeb制作会社にお願いする場合と、自社で契約する場合があります。
制作会社に任せる場合は、サーバー利用料金の他に、手数料やサーバー運用・保守の費用などが別途発生するため、自社で契約する場合よりも、かなり費用が高くなります。
サーバーを自社で契約し、運用・保守も自社で行えば、費用はサーバー利用料金だけになりますので、コスト的には抑えられます。
ただし、サーバーは機械ですので、故障やトラブルは付き物です。また、セキュリティの面でも、100%安全という対策は存在しません。
自社でサーバーを契約した場合、いざ、Webサイトが表示されなくなった時(いわゆる落ちた時)、その原因を突き止めて復旧する責任も自社になります。
サーバーの契約を考える場合、そのリスクも合わせて検討する必要があります。
この問題については、後ほど、改めて検討いたします。
4)ドメインをどうするか?
ドメインは、よくWebサイトの住所です…といった表現がなされます。
例えば、このWeb担サイトのURLは
https:// www.webtan.jp
ですが、この内、「webtan.jp」がドメインになります。
また、ドメインは、
info@webtan.jp
のように、メールにも使用されます。
先ほど、サーバーの解説の中で、
Webサイトは、サーバーに収納されたHTMLをブラウザに読み込んで表示する
という説明をしましたが、では、ブラウザは、どうやって、目的のWebサイトのHTMLデータが入っているサーバーを探すのでしょうか?
実は、それを解決するのがドメインです。
ドメインに、このサーバーにHTMLデータの情報がありますよ、という情報を設定することで、ブラウザが目的のHTMLデータを発見できるようにします。
メールを送る際も同様で、このドメインのメールは、ここに届けてくださいという設定をすることで、メールが届きます。
ですから、ドメインは「Webサイトの住所」という訳なのです。
このドメインは、そのデータベースを管理している団体が存在します。
そして、特定のドメインを利用するためには、そのデータベースへの登録を行っている事業者と契約する必要があります。
ですから、ドメインを利用するためには、当然、利用料金が発生します。(年間契約が主流です)
また、Webサイトを表示させたり、メールを使用する場合には、管理画面でその設定を行う必要があります。
なお、ドメインを取得する場合もサーバー同様、制作会社に任せる場合と、自社で契約する場合があります。
自社でドメインを取得する場合、その管理や設定など、全て自社で行うことになる代わりに、費用は安くなります。
逆に、何かトラブルが発生した場合は、自社で対応する必要が出てきます。
この点については、サーバーの問題と合わせて、改めて検討いたします。
5)ホームページ制作サービスのメリット・デメリット
さて、ここまでWebサイトを制作する上でまず決めなければならない3つの要素
・Webサイトを何で作るか?
・サーバーをどうするか?
・ドメインをどうするか?
について解説してきました。
ただし、これとは別に、Webサイト(ホームページ)を制作する場合に選択肢があります。
それが、いわゆる「ホームページ制作サービス」を利用するというものです。
「ホームページ制作サービス」というのは、簡単にホームページを制作できるWebサービス(まんまですね…)の事で、有名なところでは、Jimdo(ジンドゥー)やWix(ウィックス)などがあります。
基本的にWeb上のサービスとして提供されていて、先ほど解説したサーバーやドメインの準備もサービス内容に含まれています。
直ぐにWebサイトを構築でき、簡単にスタートすることが可能です。
利用料も、自前で制作するよりもかなり安いケースが多く、中には無料で使用できるサービスもあります。
(機能やデザインなどの範囲で無料版と有料版があるケースが大半です)
また、操作も簡単なサービスが多く、Web制作の知識が無くても、それなりのWebサイトを構築できるメリットがあります。
その一方、デザインや機能は、サービスごとに制限があり、思ったようなWebサイトができないことも良くあります。
そして、一番のデメリットは、Webサイトもそのデータも、サービス運営会社のサービス有りきのものだということです。
規約によって、そもそも表現内容や扱えるサービスや製品に制限がある場合があります。
また、規約に反した場合、いきなりサービス停止にされても文句は言えません。
※アメブロなどでいきなりブログ停止という話がありますが、あれと一緒ですね。
また、めったに発生することはないでしょうが、サービスの運営会社が、突然サービスを終了してしまったり、倒産してしまう…ことが無いとは言えません。
その場合に、Webサイトも一緒に消えてしまう可能性が高いのです。
※そうなった場合の扱いなど、事前に調べておいた方が無難です。
ホームページ制作サービスの利用は、低コスト、便利でお手軽というメリットは大きいですが、継続性という点で大きなリスクがあることを覚えておいた方が良いでしょう。
6)運用・保守という視点も大切
ここまでWebサイトの制作に必要なものを整理してきましたが、一般的な中小企業や小規模事業者であれば、WebサイトはCMSを使い制作し、サーバーは共有サーバーという選択がコスト的に多くなるかと思います。
この際、しっかり考えおきたいことが、サーバーやドメインの管理、運用・保守をどうするのか?という問題です。
それぞれの項目でも説明しましたが、サーバーやドメインは、自社で契約し、管理した方がコスト的にはとても安く済みます。
基本的には、一度設定してしまえば、定期的なバージョンアップや更新手付きの際に確認する以外は、放置していてもだいたいは問題ありません。
ただ、サーバーも、ドメインを管理するシステムも機械です。
どのだけ信頼性の高い機器やサービスを利用しても、故障やトラブルはゼロにはできません。
また、近年は悪意ある攻撃者が多く、Webサイトは常に、何らかの攻撃を受けている状況といっても過言ではありません。
いきなりWebサイトが閲覧できなくなった時に、素早い復旧のためには、その原因が
・Webサイト側のトラブルなのか?
・サーバーの機械的な故障なのか?
・サーバーを管理するシステムの問題なのか?
・ドメインの設定上の問題なのか?
・悪意ある攻撃者によるもなのか? などなど
の内、どれなのか特定し、対処してかなければなりません。
サーバーやドメインを自社で管理する、ということは、この原因を特定して対処する作業を自社で行わなければいけない、ということを意味します。
Webサイトのトラブルであれば、Web制作会社に相談しますし、サーバーの問題であればサーバー会社に、ドメインの問題ならばドメイン会社に相談します。
しかし、自社で行った設定が原因であれば、それは自社で解決しないと行けません。
一番厄介なのが、悪意ある攻撃によるもので、場合によってはどこに相談して良いかすらわからないケースもあり得ます。
自社管理というのは、こういったリスクと直面することになります。
Web制作会社に任せる場合、会社ごとに運用・保守サービスの内容は異なりますが、
・サーバーが問題なく稼働するために監視をし、定期的にバージョンアップを行う
・トラブル発生に備えて定期的にデータのバックアップを取得する
・トラブルが発生した場合、速やかに対応し、Webサイトを復旧させる
といった内容が一般的です。
この内、バックアップや復旧は、何も問題が起きなれば利用することはありません。
しかし、何かトラブルが発生した際に、原因の特定や復旧をまるごとお任せできるメリットがあります。
実例:2020年の大規模攻撃
例えば2020年の秋口に、世界的に大規模な攻撃が発生しました。
狙われたWebサイトの数は、数百万サイトにも及んだと言われていますが、この時、被害にあったWebサイトは、サーバーからデータを消されるという深刻な状況になりました。
世界的に大きな混乱となったのですが、こうした場合、何が問題なのか?原因を特定することも重要ですが、Webサイトをいち早く復旧させることも重要です。
とはいえ、原因が全く分からないのに復旧させると、問題が再発する可能性もあります。また、復旧を優先すれば、原因が特定できなくなるケースもあります。
原因特定が先か?復旧が先か?
どう対応するのがベターなのか?
自社でサーバーを契約し、自社で運営していた会社は、その判断を自社で行い、復旧作業も自社で行うことになりました。
※もちろん、障害対応だけを外部業者に依頼することも可能ですが、こういった広範囲に影響が出ている時に、果たして最優先で対応してくれる外部業者はいるでしょうか?
なお、この攻撃の際は、サーバーのデータが完全に消されていたため、復旧するためにはバックアップを使って設定しなおすしか方法がありませんでした。
最近はバックアップサービス付きのサーバーも一般的ですが、同時多発的に問題が発生している場合、サーバー会社にはお問合せが殺到します。
バックアップデータの入手までに、相当な時間がかかることも考えられます。
この結果、2020年の大規模攻撃の時は、一週間たっても復旧できないWebサイトがかなりの数に上りました。
しかも、原因が外部からの攻撃と気が付かなったWebサイトでは、一度復旧しても、また、同じ攻撃の餌食にあっています。
ちなみに、私が担当しているWebサイトでも同様の攻撃に合ったものがあります。
幸い、運用・保守サポート契約をしており、すぐにエンジニアが対応。定期的に取得しているバックアップデータを使って素早い復旧ができました。
また、復旧時点では、原因が特定できておらず、再発の可能性もありましたが、ニュースになる前に、エンジニアが原因を特定。
早期に対策することができたため、事なきを得ました。
Web制作において、サーバーの運用・保守コストは、確かに無駄な投資に見えるかもしれません。
しかし、このように、いざという時に大きな威力を発揮するのです。
Webサイトは常に表示されていて当たり前…とお考えかもしれませんが、それは違います。
事実、記憶に新しところでは、2020年12月に天下のGoogleでさえ、大規模障害を引き起こしています。
サーバーが機械である以上は故障は付き物ですし、トラブルはゼロではありません。
そう考えると、運用・保守を専門家に任せるのは、決して無駄な投資ではないと思います。
7)まとめ
Webサイトを制作する時に必要なものについて簡単に解説させていただきました。
Webサイトを運営するには、Webサイトを何で作るか?という部分も重要ですが、Webサイトのデータを保存するサーバーをどうするのか?
そのWebサイトを表示させるための住所であるドメインをどうするのか?も考える必要あります。
また、サーバーやドメインの管理、運用・保守を自社でやるか、制作会社にお任せするか?といったことも考える必要があります。
それらは、Webサイトの目的やコスト(初期投資だけでなく継続で必要になるコストも含めて)を検討した上で、適切なものを選ぶ必要があります。
Webサイト完成が目前に迫って、いきなり制作会社から、
・サーバーはどちらで用意しますか?
・ドメインどうしますか?
と後出しジャンケンのように、追加費用が出てくることが良くあります。
その結果、トラブル発生…といったこともしばしばですが、そもそも、Webサイトを制作する際には、どちらも必要なものです。
なお、補助金に関連していえば、運用コストは対象外であったり、申請用の総額を抑えるために、あえてサーバーやドメインのコストを除外して話が進むことも多々あります。
トラブルを防ぐには、事前に、こういった情報を理解しておくことが重要です。